日々是好日

歌と本と写真ほか、いろんなことに目を向ける『たしなみ系』です。

【映画】幕が上がる@シネマイクスピアリ / 2015.2.28

本日よりももいろクローバーZ主演、3本目の映画『幕が上がる』が、全国の映画館にて上映開始。先行上映・舞台挨拶、すべて落ちまくって今日まで観られなかったので、せめて公開初日に…と思い、夜の予定が入らなかったのでそのまま地元のレイトショーへ。

高校演劇に打ち込む女子高校生を主体においたストーリー。舞台・演劇に関わっている方はもちろん、何かやりたい事がある人、あるけどそこへ向かって踏み出せない人、すべての方々に観てほしいです。
もう、ホント今日観れてよかった…。

https://instagram.com/p/zpL2ETP2fv/

地元(from Instagram

※ネタバレ等含みますので、ここから先は『それでもいいよ』って方だけご覧ください…。

【ここから先ネタバレあり】

全体の感想として、まず『コレ、ただのアイドル映画じゃない』と思いました。いまやトップアイドルとなったももクロを使って、話題性もあるし一本撮りました、というレベルの作品ではまったく無かったです。
もちろん、よく知ってる夏菜子やれに、詩織にあーりん、杏果の魅力が作品に添えられて、スクリーンに出ている5人の可愛らしさを愛でるために見る、そういう気持ちも無くはないです。最初は自分もそんな感じかなーって構えてました。でも、実際観始めたら、そんな構えはことごとく破られてました。

演劇に悩む高橋(夏菜子)の気怠さ、ちょっと年上になったけどそのまんまの高校生っぽさ。演技なんだけど、それを『いかにも演技してます!』という空気を感じさせなかった冒頭で、もう。さらに、メンバーそれぞれの演じる人物のキャラ・色づけもよく出来ていたし(ただしそれはものすごく”素の”彼女達に近いものだったけど)、それにのっとった表情も、とても豊かでした。

悩みを抱えっぱなしの部長から、演劇に目覚めるきっかけとなった美術の吉本先生(黒木華)、まいった。とてもすばらしい演技!美術準備室(うちは高校の時、教員室をこう呼んでました)で高橋に詰め寄られ、渋々『教師』から『舞台役者』へ本気出すところとか…ドラゴンボールで相手に対して『ちょっとだけ本気だすぞ』というシチュエーションっぽくて。高橋がプールサイドで見る夢の中、鬼顧問と化した姿もハンパなし。
そんな彼女が演劇部員に影響されて、やっぱり自分のやりたいことをやり遂げたくなる気持ち。すごくわかります。がんばってる子に影響されて、自分は今何やってんだ…ホントにやりたいのは何なんだ…と気づかされる、まさにそういうことでした。

杏果演じる中西、完全に当たり役でしたね…。転校生、一人、滑舌、声出ない、そのすべてが元々の『有安杏果』と被って、自分の頭の中は大変でした。もちろん、元々あった中西さんというキャラクターの中に、脚本作成段階で杏果のエピソードを織り込んでいったのかもしれないけど、それがストーリーを逸脱してなくて、きちんと『演劇をやめようとした理由』として生かされている事。ダブルミーニングで泣くポイントです。

吉本先生が教員を辞め、演劇の道へもう一度進む事を決心した後。
高橋が演劇部の部員を集め、美術室でこの先の話をするシーン。ここでキャッチコピーの『私たちは、舞台の上でならどこまでも行ける』が出てくるのですが、その後に続く言葉…完全に泣かされました。追いつこうと走っても、そこは全然知らないどこかだったり、違う未来だったり。でも、その先へ進もうとする思い(切符、だな)は持っている(その直前の授業のシーンで使われた、谷川俊太郎の『20億光年の孤独』からのね)…このシーン、自分は、ライブ最後のMCに重なりました。夏菜子がトリで、みんなの前で、気持ちを不器用な言葉で繋いで、でもそれがすごく心を打たれる、という…その後にゆっこ(詩織)が『行くぜー、全国!』と狼煙を上げたのも、とても彼女っぽいなーって。

ラストシーンの切り方も、アレで良かったと思います。
もう、この続編とかはいらない。それぞれがそれぞれで、彼女たちがどうなっていったか…次の大会で落ちるのか、それとも全国行けるのか。みんなの胸の中で想像させてもらえればいいかな、って。…でも、何となく『全国大会編』とか『演劇デビュー編』の様に続編作られそうな気がしないでもないんですけどね…。

所々に出てくるカメオ的なももクロネタ。一番好きだったのはももたまいのシングルベッドですかね…あのシーンで交わされた会話が、あの曲の会話の頃より口調もちょっと大人びててグッときました。松崎しげるはまぁいいとして、三宅アナはちょっと白々しすぎて、ねぇ。思えば初競演(対バン)が2011年4月のザンジバルだった清水ミチコ夏菜子のお母さん役がすごくしっくりきてた感じでした。あと天龍はマジで何しゃべってるかほとんどわからなかった…(汗
そうそう、ムロツヨシもすごくいい味出してたと思います。音声落とされてシーンが変わる直前とかに、結構おかしな事言ってたりします。でも何より、あの『いつも間の悪い不器用な先生って、いるよね』感が素晴らしかった。

岳南鉄道、さわやかのハンバーグステーキ。自分も大好きな西新宿の高層ビルの光。小劇場、終演後の挨拶。あの頃の制服姿、体操服。ぶつかりそうな二人、打ち解ける二人。とにかく場を明るくするのが得意な友人。いろんな要素が詰まっています。

ぜひ一度、映画館で。

https://instagram.com/p/zpf2URP2f3/

無事、幕上がりました…ホント今日行ってよかった…(from Instagram

ちなみに、右側のパンフレット。1000円とちょっとお高いですが、グッズとかはちょっと…と思ってる方でも、絶対コレだけは買っておいた方がいいと思います!ボリューム満点!